伝染病に対する対策

1981年以来、ヒト免疫不全ウィルス(human immunodeficiency virus=HIV)を原因とする後天性免疫不全症候群であるエイズは、3,900万人もの死者を出したと予測されています1

近年、感染率は低下していますが、未だ年間200万人の新たな感染者が出ています1。現在、約3,700万人がHIVに感染しています1。これらの感染者のうち2,600万人はアフリカのサハラ砂漠以南の地域に住んでいます1。世界保健機関(WHO)の新規勧告によると、すべてのHIV感染者を治療し、極めて高い危険度にある人々のためのさらなる予防的選択肢として、抗レトロウィルス(ARV)を提供する場合、ARV治療を受ける必要がある人の数は3,670万人にも及びますが、その半数以下(46%)の人しか受けられていません1

2000年には、推奨されるARV薬のHIV/AIDS感染患者一人あたりの費用は、年間1万ドルであり、開発途上国に住む多くの人々にとっては、それは事実上の死刑宣告でした2。それ以来、ジェネリックの競合、大量購入協定、およびイノベーションにより、製薬コストを大幅に削減できました。中でもマイランは2009年に開発途上国に住む患者に対し、1日1回1錠という、高収入の患者と同等のケアの提供を受けられるよう支援をしました。その治療法の費用は着実に減少し、2009年には300ドル以上だったものが、現在では100ドル足らずになりました。

今日、開発途上国に住みHIV/AIDSの治療を受ける人々の約50%は、マイランのARV製品を使用しています3

しかし問題は費用だけではありません。電力供給が不安定な開発途上国では、冷蔵設備が不足しがちです。またHIV/AIDSが当たり前になっている場合もあります。数百万人ものHIV/AIDS感染者が住むアフリカのサハラ砂漠以南の地域のような場所では、冷蔵設備の欠乏が、ARV薬へのアクセスの欠如に直接つながります。

これは一つの重要なHIV/AID治療法に必要な3つの異なる薬のうちの一つが、冷蔵されていないと分解してしまうからです。

私たちが持った疑問は「手ごろな価格で耐熱性のある薬を、開発途上国に住む人々のために十分な数量製造出来ないか?」ということでした。答えは「出来る」でした。私たちはその薬の高品質なジェネリック版を開発しました。耐熱性であるだけ(新薬の同等品のように)でなく、HIV/AIDSの一次治療に耐性ができた人々の二次治療オプションの一環として、WHOに承認されました。現在、その薬はアフリカのサハラ砂漠以南の地域、中南米、カリブ海沿岸地域、東南アジアにて使用されています。
当社の取り組みにより、この高品質な医薬品へのアクセスが増加し、同時に開発途上国に住むHIV/AIDSの二次治療の費用を減少するという、ビル・クリントン前大統領との誓約を果たすことができました。

1. 世界保健機関の2016年7月発行のHIV/AIDS報告書
2. Yazdam Yazdanpanah: Costs associated with combination antiretroviral therapy in HIV-infected patients. Journal of Antimicrobial Chemotherapy. (2004); 53:558-561.(HIV感染者における抗レトロウィルス併用療法に関わる費用。抗菌剤化学療法記録)(2004); 53:558-561.
3. マイラン自社調査

いかに画期的な耐熱性抗レトロウィルス薬(ARV)が、HIV/AIDS治療を変えたかをご覧ください。